
「Pythonのメリットや、どんなものがつくれるか知りたい。」

「Pythonを学べばエンジニアになれる?」
上記の疑問にお答えします。
Pythonに興味はある人、これから学ぼうとしている人に向けて、Pythonのメリット・デメリットだけでなく、学んだ先の将来性などを含めて解説します。
具体的には、次のことをお伝えしたいと思います。
- Pythonってどんな言語?
- Pythonのメリット・デメリット
- Pythonでつくれるもの・できること
- Pythonの需要と将来性
「偉そうに語るおまえは誰やねん。」と思われるので、私のことも少し紹介させてください。
この記事を書いている私は、プログラミング歴は約6年で、一応IT業界に身を置いています。
本職での開発経験はありませんが、今でもPythonやWeb系のプログラミングを勉強しつつ、プログラミングスキルを活かして仕事の効率化を図ったり、ゲームをつくったりしています。
Pythonのことを正しく理解したうえで、気に入った方は学習を進めてもらえればと思います。
1.Pythonってどんな言語?
Python(読み:パイソン)は、1991年に登場した言語で、プログラミング言語の歴史なかでは比較的新しめの言語です。
厳密にはPython2とPython3の2つの系統があり、Python2は2020年で正式にリリースが停止しました。Python3にはPython2との互換性はなく、近年では、Pythonといえば、ほぼPython3を指すことが多いです。
Python2とPython3は別物と考えたほうが良いでしょう。
そんなPythonですが、主に次のような特徴があります。
- コンパイルが不要
- オープンソースである
- 開発環境が主要OSに対応
それぞれ簡単に説明します。
・コンパイルが不要
プログラミング言語は大きく、コンパイルが必要な言語と不要な言語に分けることができます。
コンパイルとは、特定のプログラミング言語で書かれたプログラムを、機械が実行できるかたちに翻訳することで、Pythonは、そのコンパイルがいらない言語です。
そのため、コンパイルの作業がない分、気軽に実行して動作確認をすることができます。
・オープンソースである
オープンソースとは、プログラムの設計図であるソースコードを一般に公開し、誰でも自由に使用、複製、改良、再配布ができるソフトウェアやソフトウェア開発手法のことです。
Pythonもオープンソースとして配布されているので、無料で自由に使うことができます。
・開発環境が主要OSに対応
Pythonの開発環境はマルチプラットホームに対応しているので、主要なOSであるWindows、Mac、Linuxで使うことができます。
なので、ほとんどの場合、ご自身が使っているパソコンでPythonを使うことができます。
2.Pythonのメリット・デメリット
ここまでPythonの主な特徴に触れましたが、ここからはPythonのメリットとデメリットについて話したいと思います。
・Pythonのメリット
Pythonを使うメリットは2つあります。
ライブラリとフレームワークが充実している
ライブラリとは、様々な機能をひとまとめにしたものです。
例えばエクセルを操作するためのライブラリなんてのもあり、Pythonのライブラリは用途に応じていろいろなものが揃っています。
フレームワークとは、アプリケーションの開発に必要となる一般的な機能や上記のライブラリを用意したものです。
Pythonのフレームワークで代表的なものは、Web開発向けのフレームワークである「Django」や機械学習向けの「Tensorflow」などが挙げられます。
ライブラリやフレームワークを使えば、システム開発に必要な機能を一からつく必要がなくなるので、効率よく開発を進めることができます。
文法がシンプルで可読性が高い
Pythonは、「読みやすく、効率のよいコードを簡単に書けるようにする。」というプログラムの思想を反映してつくられたため、文法がシンプルで可読性の高いプログラミング言語です。
また、特定の動作をさせたい場合は、基本的に1通りしかないように作られているので、書いた人ごとの違いが少なくなり、誰が見ても動作を想像しやすいようにつくられています。
そのためコードの修正やレビューの負担は、他のプログラミング言語に比べて少なく済みます。
・Pythonのデメリット
Pyhtonを使うデメリットを2つです。
実行速度が遅い
調べてみるといろいろな原因が考えられるようですが、代表的なものに「コンパイルされていないから」ということが挙げられます。
最初の特徴の部分でPythonは「コンパイル不要な分、気軽に実行して動作確認できる」という話をしましたが、コンピュータが処理しやすいように翻訳していない分、都度ソースコードを解釈して処理しているので遅くなると言われています。
他のプログラミング言語に比べて実行速度が遅いことは、何かしらものをつくる上で頭に入れておいたほうがよさそうです。
インデントが必要
プログラミングにおける作法の話になるのですが、Pythonの場合、for文やif文を記述するときに処理のかたまりをインデント(字下げ)で表現します。
Python以外にインデントを意味付けしているプログラミング言語はあまりないようなので、ちょっとクセを感じるかもしれません。
知らずに記述して、エラーになることがないように気を付けましょう。
3.Pythonでつくれるもの・できること
Pythonと聞いて、機械学習やディープラーニングなどAI開発をイメージする方も多いと思いますが、他にもいろいろつくることができます。ここでは代表的な5つを紹介します。
・AI開発
「AIが人の仕事を奪う。」など、話題になることが多くなったAI開発ですが、PythonではAI開発を支える機械学習を支援するライブラリが豊富にあります。AI開発者のなかでも人気が高く、AI開発でPythonを選択する企業も多いといわれています。
・Web開発
「YouTube」や「Instagram」は、PythonでつくられたWebアプリとして有名です。
Pythonは、主にユーザーからの要求(クリック送信など)を受けて処理するバックエンドの開発に使われています。
Web開発向けのフレームワークを使えば、基本的な機能(ログイン機能など)を自作する必要はなく、効率よく開発できるため、様々なWebアプリケーションでPythonが採用されています。
・ゲーム開発
意外かもしれませんが、ゲームをつくることも可能です。
「Pyxel」や「Panda3D」などのゲームエンジンや「Pygame」といったライブラリがあり、実際につくったものが公開されたりしています。
楽しく学ぶために、ゲーム開発から入るのも良いかもしれません。
・デスクトップアプリケーション
主要な処理部分はもとより、PythonにはGUIや実行ファイルをつくることができるライブラリがあるので、デスクトップアプリをつくることができます。
友人や同僚に配ることで、業務を助け、効率よく仕事を進めることができます。
当ブログでも、『【Python】デスクトップアプリの作り方(GUI実装とexe化)』で、デスクトップアプリケーションの作り方をまとめています。
興味のある方は、是非ご覧ください。

・ビジネス活用
Pythonは、業務の自動化やデータ分析に役立つライブラリがたくさん用意されています。
例えば、Webスクレイピングです。
Webスクレイピングとは、Webサイト上の情報を抽出・整形・解析する技術のことです。
このWebスクレイピングの技術を使えば、いろいろなデータを収集でき、収集したデータはマーケティングなどに活用することができます。
Pythonでは様々なライブラリを組み合わせて、Webスクレイピングをすることが可能です。
当ブログでも、『【仕事でPython活用】スクレイピングとは?やり方・学習方法を解説』で、スクレイピングのやり方をまとめています。
興味のある方は、是非ご覧ください。

また、データ分析も「Pandas」というライブラリを用いれば、統計的な計測や処理をすることができます。
4.Pythonの需要と将来性
Pythonのメリット・デメリットや特徴がだいぶお分かりいただけたと思います。
そこで最後にPythonの需要と将来性について話したいと思います。具体的には次について見ていきたいと思います。
・Pythonの言語としての人気
・Pythonを学んでエンジニアになれるか
エンジニアとしての需要がどれほどあるのか、他の言語と比較してPythonの需要を考えたいと思います。
具体的には、求人サイトとクラウドソーシングサイトの求人数と案件数を調査しました。
求人サイトは、職種にITエンジニアとWeb系エンジニアを選択し、Python、Java、PHPの求人数を比較します。一方でクラウドソーシングサイトでは、Python、Java、PHPの開発案件数を比較しています。
データは、リクナビNEXT、ランサーズとクラウドワークメジャーどころを使用しました。
全件は確認できていませんが、求人や案件に記載されている「開発言語」がPython、Java、PHPのいずれかに一致するものを計上しています。(求人は「未経験歓迎」も条件に含む。)
時期などタイミングによって増減があるかもしれませんが、傾向は把握できるかと思います。(データは2022年5月15日のもの)
では実際に見てみましょう。
・求人数
Python:138件
Java:262件
PHP:147件
・案件数
Python:462件
Java:52件
PHP:901件
※ランサーズは件数が表示されないため、数字のみ。数字はランサーズとクラウドワークスの合算。
結果ですが、求人数と案件数ともに、Pythonが有利とは言えませんでした。
Pythonの求人数は、Javaの半分。クラウドソーシングの案件数では、PHPのおよそ半分です。
AI開発や機械学習などPythonが強い求人や案件はあるものの、数は限られているようです。内容もいくつか確認しましたが、求められるスキルも高い印象です。それなりの技術研鑽は必要そうです。
また、フリーランスや副業を考えている方が、継続的な案件獲得を狙うなら、Python一本やりでは厳しい印象です。プログラミング言語を2つ3つと身につける必要があるでしょう。
Pythonを学べばエンジニアになれるかというと、そう甘いものではないようです。
・Pythonの言語としての人気
プログラミング未経験からPythonだけ学んでも、現実にはエンジニアとして活躍するのは厳しそうですが、言語の将来性としてはどうでしょうか。
ここではTIOBEインデックスという、オランダのTIOBESofrwareBVが発表しているプログラミング言語の人気の尺度をもとに考えてみたいと思います。
2022年3月のレポートでは、Pythonは1位です。昨年の3月でも2位と、長いあいだ人気を保っている言語であることが分かります。
機械学習やデータサイエンスの分野では、Pythonが主流になりつつあります。
また、メリットで取り上げたように「文法がシンプルで可読性が高い」ため、初心者でも学びやすく、エストニアや韓国など、国によっては教育分野でPythonの学習を採用しているところもあります。
以上のことから考えると、人気は安定的に高いことが予想されます。
日本においては、活用の場がまだ少ないかもしれませんが、海外に目を向ければ様々なプロダクトが生まれ、将来性はある言語といえるでしょう。
5.まとめ
以上、Pythonのメリットとデメリットについての解説でした。
実行速度が遅い、文法にちょっとクセがあるなどのデメリットはあるものの、コードはシンプルで読みやすく、プログラミングの経験がない人にとっても、学びやすい言語だということが分かりました。
様々なライブラリやフレームワークが用意されているので、何かつくってみたいという人にとっては、お膳立てが整っているといえるでしょう。
もし、あなたが次のいずれかに当てはまるなら、『Pythonの独学ロードマップ【独学方法の経験談有り】』が参考になると思います。
- 「何か作ってみたい!」と、これからPythonの学習を始めようとしている
- Pythonの学習をはじめてみて、「このやり方であっているのかな?」と不安を感じている
Pythonで、Webスクレイピングやデスクトップアプリ作成のために独学した経験をもとに、Pythonの学習ステップをまとめています。
独学は孤独になりがちなので、学習の参考に是非ご覧ください。

ご清聴ありがとうございました。